世界中でトレンドになってる感のある「Prophet-5 復活」の話題ですが、US価格が$3,499、日本の代理店価格で454,400円(税抜き)というのはなかなかのお値段です。その価値に見合うだけのものではありますが、一般人がおいそれと手を出せる金額でないのも確か。
ということで、ここはちょっと冷静に「Prophet-5」のどこがよいの?どこがスゴいの?という個人的なポイントをあげていきたいと思います。
かといって実機を持ってるわけではないので、あくまでシンセサイズの部分に絞っての話です。
爆速PC持ってるひとはu-he一択かもしれませんが、Arturia Prophet Vもなかなかよいですよ!
ちなみに実機(Rev 3、もちろんセカンドハンド)を持っている友人いわく「一生の宝もの」らしいので、実際の出音がすばらしいのは間違いないでしょう。ヴィンテージの購入金額とメンテ費用を考えたら新品のRev 4の方が確実に安いので、思い切って予約入れちゃうのもありですね。
と、その前に……
デスクトップ版あるよ!
本気で予約考えてる方はちょっとストップ! あと、お財布と相談中の方にも朗報!
「Prophet-5 Rev 4」はデスクトップ版も控えてます。
「Rev 4」はプログラマブルスイッチ周りがいろいろ拡張されているので、そのへんの情報欲しさにSequential社のサイトを漁ってたところ、記述がありました。リークでもなんでもなく、SYNTH COMPARISONシート(性能比較チャート)の「Desktop version available?」のところに、思い切り「Yes」と書いてあります。
Sequential: SYNTH COMPARISON(PDF)
「Prophet-10」も同様なので、「Prophet Rev 2」のように「5」購入後にボード追加での「10」へのアップグレードも可能かもしれません。
で、キーボード版とデスクトップ版の大きさ対比ですが、以下の「Prophet Rev 2」の例を見ると、ラック幅にギリギリ収まるかなぁという感じです。ただボリュームノブが「Rev 4」(うわ紛らわしい…)の方がサイズが大きいので、パラメーター省略なしだとすると奥行きはもうちょっとあるかもしれません。
デスクトップ版は「音」と「設置スペース」を両立させたいDTM派にはもちろんですが、ライブ派にも好きなマスターキーボードが選べるという利点があります。特に「Rev 4」はヴェロシティー&アフタータッチ対応なので、「T8」みたいなフルウェイト鍵盤が選べるのは表現力的にも大きなプラスポイントでしょう。
ということで、購入を考えてる方は「デスクトップ版を待つ」という第3の選択肢も加わりました。価格も若干抑えられるはずです。どのみちキーボード版の最初のロットは世界中から予約殺到で、簡単には手に入らないでしょうしね。
Prophet-5のすごいところ
さて、個人的な「Prophet-5」の「スゴい」ポイントです。出音についてはその歴史が物語っているので、Arturiaの「Prophet V」で満足している若輩者が何かいうことはございません。以下はあくまで、いちシンセマニアのただのつぶやきになります。
1.カッコいい
いきなり身もふたもない話ですが、これ、実物見たことある人なら納得してもらえるでしょう。マジでちょーカッコいいです。
ボタンのデザインとかボリュームノブとかその配置とか、ボディそのものも含めてトータルにバランスがとれていて、すごくスマートな印象です。同社の「Prophet-6」が49鍵のずんぐり体型で詰め込みすぎというか現代っぽいミニチュア感が強かったので、余計にそう感じます。
音楽にはメンタル要素も重要なので、触ってるだけでテンションのアガる楽器はそれだけで価値があります。リアパネル周りはちょっと不評ですが、弾いてるときは見えないので気にしなくてよいでしょう。
2.パネルレイアウト&操作性が秀逸
パラメーターのパネル配置が「左から右へ」という典型的なアナログシンセのレイアウトなのですが、「Prophet-5」の場合、これがことさらにキレイです。必要最小限のスイッチ+ボリュームノブで統一されたパラメータ操作も一因でしょうか。音づくりの「流れ」に対してすごく直感的で、わかりやすいセクション配置になってます。
シンプルで機能的なレイアウトは見た目にも美しいという、お手本のようなデザインですね。特徴的なモジュレーション部分が独立したエリアにまとめられているのも、割り切ったつくりでポイント高いです。
その上で、ノブと機能が一対一対応でやりたいことにすぐに手をのばせる操作性は、ソフトウェアシンセにはない大きな魅力でしょうか。
3.モジュレーションが凝っている
「Prophet-5」の代名詞ともいえるポリモジュレーションに関してはいろいろなところで言及されているので、いまさら解説するまでもないでしょう。で、実はモジュレーションセクションの下段に配置された「ホイールモジュレーション」も「Prophet-5」はちょっと特徴的です。
ここで、モジュレーションセクションのルーティングを見てみます。
オーソドックスな流れのシンセ部分と比べ、最小限のボタンとノブで結構複雑なモジュレーションが組まれているのがわかります。
ポリモジュレーション(フィルターENVとオシレーターBをソースにしたモジュレーション)が音色づくり、ホイールモジュレーション(LFOとノイズをソースにしたモジュレーション)が演奏表現と、目的が明確で役割もわかりやすいですよね。
で、面白いのが「WHEEL-MOD」にある「LFO NOISE」ノブです。モジュレーションアマウントはホイールの役目ですが、このノブはそこに送る信号の「LFO」と「NOISE」のバランスを調整するポットになっています。つまり、LFOの信号とノイズをミックスできるわけですね。
これ、デフォでできるシンセサイザーをさがす方がたいへんです。LFOの波形にノイズを持っている機種はありますが、大抵はマトリクスモジュレーションの出番になります。「Prophet-6」もできません(かわりにこっちのLFOは可聴域までブン回ります)。ちなみにKV331 Audioの「SynthMaster 2.9」は当たり前のようにできます。さすがです師匠。
で、モジュレーションのルーティングを見てもらうとわかりますが、これを使えばノイズでフィルターFMとかもかけられます。オシレーターBのフリケンシーにかけて、さらにポリモジュレーションのソースに使うような複雑なこともできます。
ほんと、少ないパラメーターでうまく設計されてるなぁと感心します。
4.エンベロープジェネレーターが優秀
「Prophet V」を使っていていちばん驚いたのがこれです。エンベロープのアタックタイムの変化幅が、最初は「バグってる?」って思ったくらい極端です。ざっくりこんな感じ。
ディケイタイム、リリースタイムはまた、それぞれ異なるカーブになってます。フィルターエンベロープも同様です。で、スローアタックの音をつくろうとすると、アタックタイムを2時くらいの方向まで回さないといけません。これ逆に言うと、フィルターの音色変化を含め、アタック部分の超絶微妙なつくり込みが可能ってことになります。「Prophet-5スゲー!」ってなった瞬間です(正確には「Prophet V」ですが)。
ということで
ほかにもカーティスのオシレーターとかフィルターのRev切り替えとか、本物の方がソフトウェアエミュレーションよりもいいのは当たり前なので割愛します。
あと、パラメーターがシンプルなのも最高ですね。使いこなせない隠しパラメーターが山盛りよりも、目で見て把握できる範囲で奥深いパラメーターが並んでいる方がよいのは間違いありません。で、これがマウスでプチプチじゃなくて自分の手で物理的に素早く操作できるわけですから、そりゃ実機での音づくりが楽しくないわけがありません。
ヤバい、欲しくなってきた!
うーん、デスクトップ版ならギリでワンチャンあるでしょうか。
やっぱり悩みますね、これは……。
※予約はじまってます!