英Novationが新たなグルーブボックス「CIRCUIT TRACKS」&「CIRCUIT RHYTHM」を発表しています。見た目からもわかるように、同社「CIRCUIT」ファミリーの新顔です。
「CIRCUIT TRACKS」は前世代「CIRCUIT」のアップデート版、「CIRCUIT RHYTHM」はサンプリング音源に特化したビートマシンになりますね。ルックスはどちらもまんま「CIRCUIT」フェイスですが、よく見ると新デザインの筐体になっているのがわかります。ガジェット的なオモチャっぽさは影をひそめ、スリムで洗練されたフォルムにモデルチェンジです。
それに応じるように、中身もなかなかに魅力的な仕様になっているようです。
では、スペックを覗いてみましょう。
CIRCUIT TRACKS
初号機「CIRCUIT」は、シンセパート×2トラック、ドラムパート×4トラック、エフェクト、シーケンサーと、コントローラーノブ×8およびパッド×32がコンパクトにパッケージングされた、オールインワンなマシンでした。バッテリー駆動でスピーカーも内蔵していて、どこにでも持ち出せて音楽が楽しめるスタンドアローン機。直感的に使える操作性、かつ値段も手頃なこともあり、たちまち人気機種になりました。
二号機となる「CIRCUIT TRACKS」は、前世代の良いところはそのまま踏襲しています(ただし、残念ながらスピーカーはなくなったっぽいです)。
で、アップデート項目で大きいのはやはり、外部機器がコントロールできる専用MIDIトラック×2の追加でしょうか。ついでにステレオL/R(もしくはモノラル×2)のオーディオ入力も備えているので、お気に入りの他社製シンセも手軽にプロジェクトに摂り込めそうです。
ほかにもMIDI端子がフルサイズになったり外部シンクアウト端子が装備されたりMicroSDカードスロットが追加されたり(ここからサンプルサウンドが読み込める)、ステップ数やプロジェクト数なども倍化されていたりなど、ハードウェアスペック的にも強化が見られます。
それぞれの比較は、こちらが詳しいです。
実機レビューの比較動画も、さっそくアップされてますね。英語ですが、たいへんわかりやすく解説されています。
筐体サイズはほんの少しだけ大きくなってますね。かわりに若干、薄くなってはいるようです。
シンセエンジンについて
「CIRCUIT」のシンセパートは、同社の「NOVA」シリーズから受け継がれるVAシンセエンジンをベースに開発されています。
ではそのサウンドは、というと……。
同社のハードウェアシンセ「K-Station」をソフトウェア化した「V-Station」を触ってみるのが手っ取り早いかもしれません。MIDIコントローラーやオーディオインターフェイスのバンドルなどでも手に入るし、購入するにしてもほど良い値段だしで、ユーザーインターフェイスはちょっと古めですが、なかなか良いソフトシンセだと思います。
なお「V-Station」ですが、特定のビンテージシンセをモデリングしたものではありません。が、3オシレーター構成(「CIRCUIT」は2オシレーター)で、パラメーターの並びはちょっとミニモーグっぽくもあります。
ただし出音自体は、どちらかというとデジタルなスッキリした印象。「めっちゃアナログ!」という感じではありませんね。で、よく「リキッドサウンド」と形容されますが、たしかに「ああ、リキッドだよね!」という感想が自然に思い浮かぶ音が出てきます。なんでだろう。ノブをいじったときのフィルターパラメーターの変化がすごく素直というか、滑らかというか、思い通りのカーブを描いてくれて、扱いやすくて好きなシンセです。内蔵エフェクトの乗りも良く、たっぷりとリバーブをかければリキッド感も増しマシになります。
「CIRCUIT」では、2パート分のNovationシンセが手に入ると考えるだけでも、購入動機としては充分だったりします。加えて「CIRCUIT TRACKS」では、外部シンセもコントロールできます。コンパクトで魅力的なデスクトップシンセもいろいろ登場してきている昨今なので、「CIRCUIT TRACKS」のアップデートは、かなりポイント高いんではないでしょうか。
CIRCUIT RHYTHM
さて、もうひとつの「CIRCUIT RHYTHM」ですが、こちらはまだチラ見せな感じです。
で、わかっていることをまとめると、
・サンプリングエンジンに特化した「CIRCUIT」
・8トラック(たぶん)のサンプリング音源+シーケンサー
・オーディオ入力を備えていて、本体だけでサンプリング可能
・取り込んだサンプルは加工して、リサンプリングも可能
・ビートメーカー向け、パフォーマンス指向のツール
・Beat repeatやVinyl simulation、ほかにもいろいろ
・出荷は今年の夏を予定
こちらもかなり魅力的ではないでしょうか?
廉価版MPCというか、価格的にもElektronの「Model:Samples」あたりが直接的なライバルになりそうな予感です。
続報を待ちましょう!