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ARTURIAがハードウェアシンセ「PolyBrute」を発表しました

ARTURIA PolyBlute
Image: via ARTURIA

フランスのソフトウェアシンセ界の雄・ARTURIA社ですが、最近ではハードウェア屋さんが本業?とか勘違いされそうなくらい、そっち方面も充実してきています。

で、いよいよ来ました。同社Bruteシリーズに、ついにポリフォニックシンセが登場です。
その名も「PolyBrute」。

Bruteシリーズ

ARTURIA社が最初に投入したハードウェアシンセは、同社のソフトウェアシンセをPCなしのスタンドアローン稼働できるようにした「Origine」でした。デジタルシンセサイザー、というか分類するならヴァーチャルアナログでしょうか。

で、その次が驚きのモノシンセ「MiniBrute」です。まさかのソフトウェア屋さんがアナログハードウェアシンセ。しかもマイナーかつマニアックなスタイナー・パーカー・フィルター搭載です。同製品は楽器屋さんでいじった程度ですが、荒くてすごく過激な音が簡単に出せるシンセでした。

その後はBruteシリーズも、弟分の「MicroBrute」、誰もが度肝を抜かれた「MatrixBrute」と順調に仲間を増やしていきます。

MicroBruteを日本で初めて弾いてみた

そして、ついにポリフォニック化です。

PolyBruteについて

こまかな情報はARTURIA社の製品ページを確認してもらうとして、ここではスペック上の目立った点をピックアップしてみます。

「PolyBrute」は、「MatrixBrute」の特徴を多く受け継いだポリシンセになってます。パネル配置もよく似ていて、(若干縮小されましたが)マトリクスモジュレーションのイルミネーションスイッチ群もあります。

で、最大の違いはもちろんポリ数。

「MatrixBrute」は基本3VCOのモノシンセで、VCOをばらして3音パラフォニックシンセとしても使えました。が、「PolyBrute」は、2VCOにはなりましたが正真正銘の6音ポリフォニックです。

なお「MatrixBrute」では3つめのVCOがLFO兼用だったので、独立の3LFOになった「PolyBrute」もスペック上は大きく変わりません。

フィルターとモジュレーションソース

こちらも「MatrixBrute」同様、ラダー・フィルタースタイナー・パーカー・フィルターの組み合わせです。超過激な音から、普通にレゾナンスの効いたMoog系サウンドまで難なくカバーできますね。

フィルターのルーティングは、シリアルパラレルが用意されています。なお、マスターカットオフノブを使えば、両方のカットオフを同時に制御できるようになっています。

モジュレーションソースについては「ENV」が3基と「LFO」が3基。うち「LFO3」のみが変わっていて、波形が選択式ではなく「Curve」パラメーターで形状をシームレスに変化させ、「Symmetry」パラメーターで波形の読み出し角度を変調(三角波を歪めてノコギリ波をつくるイメージ)する仕組みになっています。

あとはおなじみ、スイッチングによるマトリクスモジュレーションも搭載です。

モーフィングとコントローラー

たぶん、これが本シンセのいちばんのウリでしょう。

「PolyBrute」では、異なるプリセット間で音色のモーフィングがおこなえます。で、それに役立ちそうなのが、新たに搭載された「Morphée」と呼ばれるコントローラーです。

キーボード左横の木製のパッドがそれです。

一見ふつうのXYパッドっぽいですが、押し込むことでZ軸のプレッシャー情報をモジュレーションソースとして使えるようになってます。ということで、これXYZの3軸コントローラーになります。もちろんマトリクスモジュレーションで、さまざまなパラメーターにアサイン可能です。シーケンサーやアルペジオにもアサインできるようで、指先ひとつで音色から演奏までさまざまな表現が可能です。

あと、さりげなくリボンコントローラーもついていたりなど、演奏する楽器としても考えられた設計になっているようです。

PolyBrute | Morphing Analog PolySynth | ARTURIA

また、本機をDAWにインテグレートできるプラグインもリリースされるようですね。DTMでの利用も可能性が広がります。

さて、お値段は?

まだプリオーダーですが、プライスタグは「$2,899」となってます。モノフォニックの「MatrixBrute」と比べると、8音ポリの本機は意外に安い?とか思っちゃいます。

実際の発売は11月の末くらいを予定しているみたいです。

さて、ARTURIA社というと(ソフトウェアのメーカーのはずなのに)ハードウェアは「すごく頑丈!」というイメージがあります。本機もその例にもれず、スペックシートを見ると「20Kg」。重っ! まぁウッドパネルも使ってますし…。

ともかく見た目も機能的にも重量級で、ARTURIA社らしい挑戦的で魅力あふれるシンセサイザーに仕上がっているようです。