KORG社から新製品のコンボです。現代に蘇ったベクターシンセ「wavestate」と同じ37鍵の筐体に、革新的な“オルタードFM音源”を搭載した「opsix」の登場です。
同社の「wavestate」が現代的に進化したベクターシンセだったように、「opsix」もまたFMシンセシスの可能性を新たな次元に引き上げる、さまざまなアップデートがおこわなわれています。
操作性
6オペFMシンセの始祖「DX7」での音づくりは、たくさんのスイッチと、たった一本のスライダーでおこなわれました。すごくデジタルを感じさせる操作方法ですが、逆に直感的ではないところに「FM音源はむずかしい」というイメージを定着させる要因にもなったと思われます。
対して「opsix」は、6つのボリュームノブと6つのスタイダーを装備です。
ボリュームノブが各オペレーターの「レシオ」、スライダーが「レベル」に対応しています。
しかも各コントローラーは、音を出力する「キャリア」が赤、音色を変化させる「モジュレーター」が青と、アルゴリズムに応じて色も変化します。これはわかりやすいです。
もともとFM音源はパラメーターは膨大ですが、音づくりの体系自体はすごくシンプルな考え方にもとづいています。各オペレーターの役割が理解できれば、半分は理解したも同然。で、そのもっとも重要なオペレーターの「レシオ」と「レベル」をコントローラーとしてを独立させた「opsix」は、かなり理想的な操作体系だと思います。
加えて、6つの「DATA ENTRY」ノブもありあす。「DX7」とくらべて直接操作できるパラメーターは格段に増えました! 逆にスイッチ類は、ずいぶんと数が抑えられています。すごくよいバランスですね。
5つのオペレーター・モード
「DX7」ではキャリアとモジュレーターの関係は「FM」のみでしたが、「opsix」ではこちらにも面白い機能が搭載されました。
「opsix」では「FM」に加えて「Ring Modulation」「Filter」「Filter FM」「Wave Folder」の、5つのオペレーター・モードを装備しています。
FMシンセシスのアルゴリズムに加えて、オペレーターの関係自体が複数のアルゴリズムを持つことによって、音づくりの可能性も飛躍的に広がっていきます。
拡張されたアルゴリズム
そのFMアルゴリズムも32から40へと拡張されています。
32番までが従来の「DX7」のもの。33番以降が「opsix」オリジナルです。
34番の6段積みはかなりエグいですね。逆に35番は「なんでなかったんだろう?」っていう感じ。37番は……これはなんでしょうか(5から6へのフィードバックならわかるんですが)。とりあえず実機待ちです。で、その他の36番以降は、こういうこともできるんだって感じですね。
他にも自分で独自のアルゴリズムを組めるユーザー・アルゴリズム機能も用意されています。これは強力です。加えて、オシレーター波形自体もノイズを含む21種類あります。FM音源としての充実度は過去最高レベルといえるでしょう。
モジュレーションソースも充実
モジュレーションソースは、LFO3基と、各オペレーターEGとは別に独立したEG3基が用意されています。
LFOは23波形を装備です。これだけの波形を用意している機種はなかなかありません。
逆にEGはシンプルに「ADSR」。実際8パラメーターのEGはトリッキーですが使いこなしは面倒くさいので、モジュレーション用にはこちらの方が歓迎です。直感的なわかりやすさと音づくりに全振りな姿勢は好感が持てます(※調べたらオペレーターのEGもADSRでした。DX7のシステムエクスクルーシブも読み込めるようですが、音色は微妙に変わりますね)。
これらはバーチャル・パッチを使用して、さまざまなパラメーターにルーティング可能です。
そのほかにも魅力満載
ほかにもヴァーチャルアナログを含むフィルターが1系統11種類、エフェクトが3系統30種類。スペクトラムアナライザーとオシロスコープも装備し、音づくりの機能も万全です。
また、パラメーターのランダマイズ機能もあります。FMガチャが楽しめますね。
あとは、16ステップのポリフォニックシーケンサーやアルペジエイターも装備で、モダンなデスクトップシンセのツボはきっちりと抑えた内容となっています。
しかしこれはまた音づくりのしがいのあるシンセサイザーが登場してきました。正直欲しいです。お値段も手頃そうだし、自分へのクリスマスプレゼントに検討中。っていうか個人的には「COBALT8」にほぼ決めてたんですが……。
うーん、悩みます。